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2007年10月04日

中西、永田の闘いへの期待

私の学生時代、前年のグレコの全日本学生王者とスパーリングする機会に恵まれた。
漫画「田舎っぺ大将」の如く壁に穴が開くくらいの豪快な反り投げを受け続けた日々であった。

ある時「先輩はプロレスラーを投げれますか?」と聞いた。
先輩は「おまえより簡単に投げれると思うけど何で?」とだけ言った。
それから数ヶ月後あまりのしごかれっぷりに精魂尽きた私は、
先輩が反り投げの為のクラッチをした瞬間、投げられるのはゴメンとばかり自分の体を脱力してマットに自らへたりこんだ。
先輩は寝る子は重いとばかり初めて私を投げる事が出来なかった。
私はその時初めて闘う事を放棄するしか先輩の反り投げを防げない事に気付いた。

その頃、UWF全盛であった。
格闘技を名乗ったUWFであったが、私は彼らにテイクダウンされたら、今の先輩との地獄のような練習の意味は無くなるとさえ思った。
前田か高田かが「UWFに対応出来るアメリカの選手は少ない。アイアンシークが出来ると聞いたが」とコメントした。
私は何を持って「出来る」なのか?と思った。
レスリングの全米代表のコーチにも抜擢されたアイアンシークに対して、どのような格闘能力を持ってUWFの連中が「出来る」等と評価出来るのか腹立たしかった。
テイクダウンまともに出来ないUWFがえらそうに語り、それらに熱狂して普通のプロレスを見下すUWF信者たちに嫌悪感を抱いていた時期であった。

思えばあの頃の保守的プロレスファンの気持ちと、総合格闘技に押され始めた頃のプロレスファンの気持ちは同じである。
違うのは、今のプロレスラーとプロレスファンは「ブロレスはプロレス」の名の下に闘う事を諦めたという事である。

私にとって化け物のような全日本学生王者の先輩の更に上を行く全日本王者である永田と中西が総合格闘技に出陣した。
私は今でも、あのリーチの長い永田に差されてテイクダウンされない、
少なくともレスリング出身以外の格闘家がいるとは思えない。
あるいは中西がスポーツ心理学の一端でもかじり、あがり症を克服すれば、
中西のタックルがどれだけ誰も切れない圧力を持つタックルか、多くのファンが知るであろう。

総合格闘技のレベルが上がった今、元々のベースだけを頼りに、40代になろうかというレスラーが勝てるかという意見が多いだろう。
しかし方程式通りに闘えば彼らに負ける要素は無いと信じている。
負けてもいい。
闘いにいく彼ら、そして、プロレスラーの姿を観たいと切に思う。

2007/07/05掲載
posted by shingol at 12:00| スポーツナビ版アーカイブズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする