2007年10月05日

キャッチレスリングの使い手待望論2/キャッチレスラーへの夢

前回好評であったキャッチレスリングの使い手待望論の記事にもう少し具体性を加えて記してみたいと思っている。

多くのプロレスファンはかつてイギリスで生まれたキャッチがプロレスだけの原点だと思っている場合が多い。
実は現在のレスリングの五輪二大スタイルのうちフリースタイルもキャッチを源とする競技である。
(ちなみにグレコローマンスタイルはその名の通りギリシャ・ローマ時代の格闘術がフランスの騎士道精神に則って競技化されたといわれる説が濃厚である)

身体中どこを攻めても良い裸体の格闘競技の原点はまさしくキャッチであった。
裸体の格闘技者を道着や帯なくして転倒させ、そして屈服させるには高度なそれでいてスピードを伴った動きでなければ不可能である。
結果キャッチはレスリングのスタンド技術、コントロール技術を高めていった。
アメリカ大陸発見後、多くの移住者の手によってアメリカでキャッチはそのレベルを高めた。ただし違う形での発展であった。
すなわち安全性と競技性の為にキャッチの決め技である関節技を取り除いたのである。

しかし関節技を取り除いたレスリング=五輪レスリングという形でなく、
キャッチの回転体と目まぐるしく動くコントロール技術とグランド技術を真空バックにして残したものが今もアメリカで残るカレッジスタイル(フォークスタイル)なのである。

イギリスはどうであったか?キャッチレスリングの伝統を守りながら
自ずとフィニッシュとしての関節技だけを残したもののイギリスはキャッチの90パーセントの土台を占めるコントロール技術、グランド技術をアメリカに持っていかれフリースタイルレスリングの母国でありながら、空洞化を余儀なくされてしまった。
結果残ったのは高校生並みのスタンド・グランド・コントロールのレスリング技術だけしか持たないが決め技だけは持っている選手たちである。

皆さんは総合格闘技におけるU系の技術をどう思われるだろうか?
あるいは日本プロレス史上初めての競技試合といわれた藤原対石沢の試合をどう思われるであろうか?

藤原対石沢はまさしくイギリスキャッチ対アメリカキャッチの闘いであった。
決め技を持つものの、キャッチの決め技に至るまでのスタンド、グランド、コントロール技術を持たない藤原と、逆にスタンド、グランド、コントロール技術はキャッチを源流とするフリースタイルとして完璧なものをもっていたものの決め技を持たない石沢と、結果は不可解な結末を迎える事に成る。

二人の闘いに見られるように、キャッチとは極論すればスタンド、グランド、コントロール技術を持たないものの決め技だけは知っているU系選手たちと、キャッチ伝統のスタンド、グランド、コントロール技術を持つものの、決め技を持たない
フリースタイルレスリング出身選手たちとの二極化されてしまっているのが現状である。

総合格闘技黎明期、レスリング選手が総合マットを席巻した。
当時の総合の方程式に基づいて相手をコントロールしたのである。
しかし、もしアメリカの多くのレスリング出身選手たちが経験して来たカレッジスタイルの技術を駆使し相手の足も、バックも、容易に取った後に、決める関節技を持っていたら
総合格闘技の歴史はどうなっていのか?
レスリング出身選手たちは相手の足等簡単に取れる。しかし取ったところで関節技を持たない。自ずと当時のパウンドの為のコントロールにしか攻撃パターンが限られてしまう。

逆に決め技を持っていても相手をコントロールするスタンドとグランドの技術を持たない
U系選手たちはどうであったか?
結論は話にならなかったということである。

キャッチとは関節技だけでなく、アメリカに渡りカレッジスタイルに発展してしまったキャッチ本来の360度のレスリング技術、そしてプロレスラーたちが秘伝としていた
関節技、その二極なくして成り立たないものである。

キャッチの伝承者ジョシュ・バーネットにしたところでレスリングは高校生レベルである。
(ジョシュが己の経験に基づいての闘い方の中にキャッチの偉大さを立証すべく加味している事は尊敬に値するが)
桜庭は総合に進出した時点ですでにレスリングの技術を退化させていた。
現役に近いレスリング出身者は流行のレスリング出身の総合パターンに固執する。

もう二度とキャッチの継承者は現れないのであろうか?

皆さんはマレンコ兄弟のスタンドレスリングからの流れるような関節技への
移行を覚えているだろうか?
あの動きで私は柔術の動きも制する事が出来ると私自身の柔術とのスパー経験で確信している。
ただ問題はマレンコ兄弟も私も大したレスリングレベルでないという事である。
(まして私は関節技が大嫌いである…)

しかし前田日明に、船木誠勝に、私程度のレスリング技術があれば、
総合格闘技は柔術家たちの天下にはさせなかったであろうと思う。

プロレスファンであり、レスリング競技者であった私の願望はプロ・アマ
共通のグレートマザー「キャッチレスリング」の継承者の出現で有る。


2007/07/25掲載

人気blogランキングへ
posted by shingol at 11:02| スポーツナビ版アーカイブズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする