2007年10月05日

武藤敬司/スパーリングの強さとスキンヘッド

昔から柔道出身のレスリング選手は多かった。かくいう私も柔道出身であったが。
実は高校生のレスリングにおいては柔道部所属の選手が国体などを制する事も多い。
特に重量級に多い傾向である。
高校生程度のレベルならば普段、層の厚い柔道でもまれている選手がルールを良く知らないまま地方大会から国体まで勝利を続ける事も有る。
当然、大学生ともなれば柔道だけの技術しか持たない人間は、裸体ではレスリング選手の相手にならないのが通常であるが…。

柔道出身の選手とは今もグラップリングで出会う時が有る。
不思議な話だが、レスラーにとっては柔道出身の選手と闘う時、怖いか怖くないか単純に体型で判断できるものだ。
丁度軽重量級あたりに多い骨太でやや長身の選手にはレスリングには無い内股などを駆使して裸体のグラップリングでもかなりのスタンド能力を持つ者が多い。
私が驚くのは彼らの腕力で有る。
そういう選手と当たる時は、かなり心身ともにプレッシャーを感じるものだ。
実際、高校レベルならばレスリングでも勝ち抜く柔道選手と言えばそのようなタイプが多かった気がする。
逆にそれ意外の体型の選手に怖さを感じる事は不思議と全くない。
裸体であるならば簡単に私程度のレスリングテクニックで翻弄出来るからだ。

実際の総合でも裸体のグラップリングの強さを醸し出す柔道家は吉田秀彦などの骨太で内股を得意とする選手であった。

私の経験から、この男は裸のグラップリングでも、スパーリングでも強いだろうなと思う男が一人いる。
武藤敬司である。

高校のレスリングキャリアから自身満々の鈴木みのるを寝技でなく、スタンドで圧倒した選手は当時の新日本では武藤だけであった。
若手の頃の鼻高々の鈴木みのるのインタビューでもその事がしっかりと記されている。

武藤自身、柔道でスペシャルな実績を残していたわけでは無い。
しかし、武藤の長身で骨太の体とその体型に合わせた柔道技はグラップリングでは恐ろしく強いものであったに違いない。
全ての柔道家が裸体で強いと言う訳では無いが、武藤のような体型と技を持つ柔道家の裸体での強さはプロレスファンの想像以上であると私は思う。

初めての凱旋帰国時、スペースローンウルフとなって帰って来た武藤を前田や高田が嫌らしく攻撃し続けた。
鮮烈な蹴りを連発したところでプロレスの試合内で人の良い武藤がキレる訳は無い。
少しムッとした武藤が前田を内股ですくった。
前田がよろめいた。
しかし、それ以上、武藤が前田を転倒させる事は無かった。
実際、武藤とスパーリングすれば前田と高田程度の技術では太刀打ち出来ないだろう。

私程度のアマチュアでも橋本相手にスパーリングすれば全く負ける自信は無い。
けれど武藤にはやられるだろうと思う。

プロレス的な幻想神話の中で橋本やUWFが強いと思われて来た。

しかし、今、もっともプロレスらしいプロレスを展開する武藤が、実は鈴木みのるや
石沢常光も認めるグラップリングの強者である事を知るファンは少ない。

髪の長い頃、いかにもプロレス的センスの青いロングタイツからショートタイツに
変えた武藤は、プロレスオタク出身たちのアクロバットショーとは格の違う、運動能力と
肉体の見栄えの中で重い空中技を放ち、端正な顔立ちでスターの雰囲気を醸し出していた。
私は新日本プロレスはひょっとして武藤を複数スターの中のスペシャルなエースにした
かったのではないかと思う。
しかし橋本始め、我の強い他の選手たちが黙っているはずも無い。
まして人の良い武藤の事だ。
スパーの強さを鼻にかけていたわけでも無いだろう。
しかし、小川とリアルに闘ってもいいという発言には、実は武藤は自分の強さを知って
いたのではないかと思う時も有る。

今は満身創痍に成りながら、一国一城の主と成って、武藤には似合わない悲壮感と
責任感を持って、武藤の放つ明るいオーラが地味な色に変わりつつ有る。

開き直ってツルツルにした武藤だが、スキンヘッドは武藤の光を消してしまう。
丸刈り、五分刈り程度なら、はげも目立つまい。少しでも髪の毛があったほうが良い。

膝にどのようなニーブレスが入っているかも知らないが、なんとかショートタイツに出来ないか。
あのプロレス界きっての色男武藤が、開き直っておっさんビジュアルにする必要等無いのだ。

武藤敬司が少しでもかつての明るいビジュアルを取り戻したとき、プロレス界の勢力図が少し変わってしまうだろう。

2007/08/04掲載

人気blogランキングへ
posted by shingol at 11:49| スポーツナビ版アーカイブズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする