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2008年02月07日

70年代アメリカンプロレスに見るリアルとフェイクの融合/猪木ゲノム再興のヒント/1

度々、同じ事を記すが、私は、純プロレスの試合も好きである。
アントニオ猪木のプロレスを見て育った私にとっても、小学校時代の全日本プロレスの様式美溢れるエレガントな世界は大変、魅力的なものであった。

今の純プロレスに、当時、私が魅力を感じたエレガントな世界があるとは思わないものの、それでも全日本プロレス的世界観の現在を私は否定した事は一度も無い。
極論すれば、私には関係の無い世界だからだ。

私が、私のブログにおいて、嘆き否定していた事の真意は、かつて新日本と全日本二つの
世界観が並び立っていた日本のプロレスが、全て、全日本プロレス的世界観だけが細分化されたジャンルと成ってしまった事に対してである。

かつての日本のプロレスの二つの柱の内の一つでしかなかった全日本的世界観が、今は日本のプロレスの全てを支配し細分化してしまった。

逆にもう一つの柱であったアントニオ猪木の「闘うプロレス」というカテゴリーが、プロレスというジャンルから消え去ろうとしている。
私は、その事に危惧を感じているのだ。

総合格闘技イベントがアントニオ猪木的世界観の進化形と思われた事もあった。
しかし私は大きく否定したい。
純プロレスかリアルファイトかの二者択一を迫られ、やむなく、総合格闘技イベントに、猪木の側近たちも、昭和のファンも、揃って出向かざるを得なかっただけだ。
猪木が理想とするものは、「闘いのプロレス」であっても、「リアル・ファイト」ではない事は昭和のファンなら皆、分かっていた事であろう。
それでも、プロレスというジャンルに闘いが無くなったとき、かつての闘いの憧憬を求めて、止むなく、総合格闘技イベントに流れていったファンたちは多いであろう。

引退後の猪木人気の上昇時、初めての大晦日「イノキ・ボンバイエ」はプロレスのイベントであった。
アントニオ猪木が狙った「実際に闘える男たちのプロレス」は、見事に当の格闘家たちの理解不足、勘違いで、ただの茶番と化してしまった。

プロレスは闘いではないと思う格闘家たちが、見事に闘いをそぎ落とした、中途半端なプロレスを展開させたのである。

結果、「実際に闘える選手たち」によるプロレスほど面白くないものは無いと、短絡的なイメージを、ファンに植え付ける事になってしまいもした。

UWFの存在もある。
私は前にも記したが、私的な考えでは、UWFスタイルほど、純プロレスは無いと考えている。
逆に言えばアントニオ猪木の「闘うプロレス」とは正反対の物であったからだ。
UWFはリアルファイトではなく、プロレスであったのは周知の事実である。
しかし、意外と気づかれていないのが、プロレスとしてのUWFが「闘うプロレス」ではなく、「純プロレス」であった事である。
プロレスとしてのUWFの試合中に実際のリアルな主導権争いの攻防が入り込んだのは、船木と鈴木以降であり、それ以前は、あくまで、仲間内の協力を前提とした約束的な動きによる試合であった。
痛い攻撃を繰り出しても決して怒らない信頼出来る仲間内での、約束的な技の攻防を見せる、純プロレスすなわち全日本プロレス的世界観そのものであったと私は考えている。

新日本特有のギクシャクとした攻防とは程遠い流れるような技の応酬。
全日本の約束的な動きであるフライングメイヤー、ロープワークが、単にキックと関節技に変わっただけの世界と考えれば理解出来るであろうか?
そのUWFのプロレスの本質もまた、格闘技風プロレスはつまらないとのイメージを植え付ける一つの要因でもあった。


あるいはセメントの存在もある。
これについては説明を省くが、セメントの常習者猪木であっても、セメントが理想なわけは無いであろう。
あくまで約束的な攻防が全てでなく、能動的なリアルな主導権争いがあっても結果はプロレスを成立させることが前提である。
仕事として成立しないセメントは問題外という事だ。

格闘家達によるプロレスごっこ、あるいはUWF的格闘技風プロレス、あるいはセメント、それらがアントニオ猪木の求める「闘うプロレス」だと誤解を受け続けてきた。
結果、それらの勝手な誤解を持って、アントニオ猪木の「闘うプロレス」は、格闘技でもプロレスでもない中途半端なプロレスだとの烙印を押され、プロレス村を追われた。

追われた猪木とファンたちが、総合格闘技イベントにこそかつてのアントニオ猪木の世界観があると言い聞かせ熱中しようとしても、元から「リアルファイト」にアントニオ猪木の世界観は存在しないのだ。

以前、「猪木ゲノムの正体を探れ」と題した連載記事を投稿させてもらったが、今回、新たに思わぬ発見を通じての私的な猪木ゲノムの解釈を次回からしばらく記していきたいと思う。

                 (続く)

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posted by shingol at 20:45| 新・レッスルする世界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする