2008年04月17日

長州力の感情露出プロレスとは何か?/勘違いされている長州力

私は常々、猪木や前田、橋本真也の魅力とは感情を悪戯に露出させず、「溜める」事で、観客に視線を集めて来た事だと記して来た。
プロレスはリアルではないからと、免罪符のごとく、余計に感情の露出に拘ろうとしているのが現在のプロレス界である。

これは少し今のプロレスファンにはきつい言い方も知れないが、今のプロレスファンが感動し興奮する「感情のぶつけあいプロレス」を赤面せず見つめる事が出来る人たちは、世の中で、プロレス村の住人たちしかいないと私は思っている。

世間の人があまりにもプロレス的な感情のぶつかり合いに空々しさやわざとらしさを感じている事にそろそろ気づくべきてある。

感情の露出と言えば、長州力もそうであろう。
しかし長州はその感情の露出によって多くの一見さんたちをプロレスに取り込んだ。


それは長州の感情の露出とは、現在の多くのプロレスラーのそれとは全く別物であるからだ。

長州は本当の深層心理の中に、ファンに対して見せた事の無い刃を持つ人間でもある。
しかし、深層心理の刃を、押し隠し、プロレス的に露出の許される感情に変化させている男なのである。

心の奥底の刃等無く、ただ単にプロレス的感情の露出の提示に多くのプロレスラーが夢中になろうとしても、長州の心の奥底からのリアルな感情をプロレス様式に加工した感情には勝る事は無いのだ。

多くの格闘技エリートたちはプロレスはプロレスだからと感情をあらかじめ捨て去ろうとする。
あるいは格闘技の刃を持たない純プロレスラーたちは、最初から鈍角なプロレス様式に加工された感情の露出を持って、感情のストリッププロレスを展開する。

長州はどちらでも無いのである。

そして前田とも異なる。
本質的に深層心理の世界では前田と同じ鋭角性を持ちながらも、前田がその鋭角的な刃を「溜め」ただし何か在れば露出させようという危険な雰囲気を醸し出すのに対して、長州は鋭角的な刃を「溜める」のではなく、最初からプロレス的な感情に転化させているのである。

長州力のプロレス的な感情の原材料は、純度の高い本当の怒りと、そして本当の怒りを溜め職務に全うする格闘家の色気である。

猪木にしても、長州にしても、結局は弟子に対しては、禅問答の教えのような抽象的な言語しか持たない人間である。
彼らの多くの弟子たちが、猪木プロレス、長州プロレスの本質を理解出来ず、外見だけを真似ているのか実情である。

私が残念なのは中西である。
おそらく中西はプロ入りしたエリートの中で、長州に似た主従関係のストレスを持つ男である。
そして頭が良すぎるからこそ、馬鹿なキャラを偽っている男なのである。

中西が、自分の本心を、とりあえず心の奥底くらいまで引っぱり出し、かつ、その引っ張りだした感情を、心の奥底に溜め、プロレス的な感情の露出に転化させれば、中西は違った魅力を持つ事が出来るであろう。

それくらいリアルな怒りを溜め込む中西は、恐ろしさを満点下のファンに見せつけられるはずである。

リアルな刃の感情等持たない連中が、いたずらに物凄い表情で、感情を演出しても、それは所詮、砂上の楼閣だ。
私が最近気づくのは、男子プロレスの女子プロレス化だ。
最初から物凄い表情で、感情を表現するのに必死だが、そこに根っこのリアルな感情は在るのか?
深層心理の中の感情以上の感情の露出を試みようとしても、そこには「殺気」も「緊張感」も「色気」も無い。
今のプロレスラーたちは、深層心理以上の感情を無理に表現しようとする。
自ずと、怒りの表情や気合いに頼らざるを得ない。
そこには観る者が白けるわざとらしい世界しか無いのだ。

あるいは待ち構える相手の頸椎めがけて物凄いエルボーを放っても、それは受け止めてくれる相手に甘えた感情の露出でしかない。
無理に感情を作ろうとしても、深層心理の中にリアルな感情等あれば作る必要等無くてもファンには「殺気」や「緊張感」は伝わるはずである。

長州力のストンピングを観れば良い。

相手を傷つける事無く、ただ自分の怒りを古典的な相手を傷つけない技に込め、自分の深層心理からのリアルな感情をぶつける。
長州がストンピングする相手は対戦相手ではない。
マットである。
その感情は絶対に前田のようにリアルには露出せず、プロレス様式に変えているものの、それでも実体のない感情の演出とは別次元の世界なのである。

橋本真也の純プロレス的手法とは?2/アントニオ猪木の演出を引き継いだ男
猪木ゲノムは難しい/橋本対小川のセメントマッチの誤解
武藤敬司の「速さの秘密」純プロレスのリアリティとは?
昭和プロレス者/3・世界一平和を願う男・前田日明の行く末
昭和プロレス者/4・長州力という情動によるリアル猪木ゲノム
格闘技プロレスと皆が一言で片付けるので、格闘技プロレスを分類してみました

人気ブログランキングへ

posted by shingol at 17:16| 新・レッスルする世界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする