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2008年04月18日

平成にもあった闘うプロレス列伝1/鈴木健想

かつて昭和の新日本プロレスが、純プロレス的な約束事に頼らず、リアルで能動的な主導権争いを展開して来た事は、私のブログで最も多く伝えて来たテーマでもある。
(また、一方の、純プロレスの分野においても、新日本の場合は、感情の演出法や演劇的手法を用いて、従来の純プロレスとは異なる魅せるプロレスを展開していったが、その後継者は橋本真也以降出ていないと私は思っている)

それが昭和の新日本プロレスでもあった。

プロレスファン出身のレスラーが多くなり、プロレス的な技量の高い選手が増えた現在の新日本であるが、もはや前述した二つの昭和の新日本プロレスの要素は観る事は殆ど出来ない。

しかし平成以後も、僅かでは在るが、昭和の新日本を彷彿とさせてくれる「リアルで能動的な主導権争い」によってプロレスを成立させた選手が存在していた事も事実である。

もちろん、その筆頭は、Uインター相手に奇跡的な試合を展開した永田や石沢でもあったが、意外な選手がそういうプロレスを行なっていた事もある。

例えば、鈴木健想である。
正確には、試合ではなく、他人の試合中に乱入しての僅かな光景でしかなかったのだが、意外と、そのシーンを覚えている方は多いのではなかろうか?

橋本が確か引退を掛けて小川と闘った試合である。
試合途中、乱入した村上和成を、橋本のセコンド鈴木健想がリアルなラグビータックルの連発で撃退した名シーンである。

プロレス的にディフォルメしたラグビータックルではなく、リアルなラグビータックルをプロレスのリング上で放ったのは鈴木しかいない。

格闘球技といえる激しいスポーツながらも、一対一の格闘技経験の無い鈴木が、心底の感情を込めて至近距離で連発したタックルは、村上をたじろがせる事に成功した。

村上の乱入は橋本対小川の試合の一つのエッセンスでもあったが、重要だったのは、村上に向かっていったのが鈴木一人だったという事だ。

新日本の他のセコンドが腰を引けていたのではない。
おぞましい乱闘に発展した過去の反省と、リング上のあまりの緊張感に水を差さない配慮がセコンド陣からは感じられていた。

その中で村上に対する役回りは、橋本の付き人、鈴木しかいなかったのである。
結果、鈴木は、あの試合の緊張感を更に高める重要な役回りを成功させたのである。

小川がリアルで能動的な闘いを仕掛けた最初のドームでの試合と異なり、あくまで純プロレスに近く、かつ、猪木的純プロレス演出手法を引き継いだ傑作試合であったが、あの試合にリアルに勝る緊張感をもたらした鈴木の功績は大きいはずである。

大切なのは、あの頃、すでに総合格闘技がジャンルとしてのうねりを挙げていたという事である。
なのに、何故、ゴールデンタイムに恥じない「闘うプロレス」を多くのファンに見せつける事が出来たのか?

橋本の猪木的感情の演出、そして鈴木の瞬間のリアルで能動的な攻撃。
その二つの要素がダイナミズム溢れる昭和の新日本的な世界を再現したのだ。

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posted by shingol at 01:34| 新・レッスルする世界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする