2008年05月02日

私の故郷と油かす

私が18歳で神崎川を越えたとき、驚いたのは、大阪弁のアクセントの柔らかさだ。
川を渡って、大阪に行けば、もっと、きつくどぎついアクセントの大阪弁を知り、もっと阪神タイガースの熱を感じると思っていたのだが、どちらとも全然、私の故郷・尼崎の足下にも及びもしなかった。
私の嫌いな同郷の漫才師ダウンタウンの言葉が、全国的には、大阪弁と認知された時点で、我が故郷・尼崎は大阪を、大阪らしさで超えたのだ。

私の育った街は同和地区である。
もっとも私は同和の人間ではない。
同和と言われた街にこそ、私の祖父母のような韓国の人間が入りやすいのである。

ついでに沖縄の人も多かった。

同和・韓国・北朝鮮・沖縄、この国のマイノリティが集結する私の自慢の故郷である。

そう言えば、鹿児島の人も多かった。
酒に強い我ら韓国人も、鹿児島人の酒の強さには一目置いた。

おやつには沖縄まんじゅうとチヂミを市場で買った。

共働きの両親であったので、4歳から、立ち飲み屋とお好み焼きやで晩御飯を食べた。

立ち飲み屋で、日本人の大衆的な酒のアテを知った。

私が驚いたのは大阪のお好み焼きの標準が「混ぜ焼き」である事だった。
普通、お好み焼きと言えば「載せ焼き」やろうと思っていた私には、生地を混ぜて鉄板に載せる大阪のお好み焼きには心底驚いた。

神崎川を越えるか越えないかで、ベルリンの川の如く、かくも文化は異なるのかと、18歳の時、つくづく感じた。

私の好きな故郷の料理は、油かすだ。
油かすは、お好み焼きと、うどんに入れる必需品だ。

良質のタンパク源や脂肪を、いかに安価で、口に出来るかを競い合った我が故郷の自慢の最高の良質のたんぱくと脂肪の傑作品であった。

考えれば草食動物を食う肉食動物の一番の御馳走は、内蔵である。
所詮、肉食の王者のライオンの食べ残した脂肪に群がる二番手の肉食獣と、美味しく柔らかい肉を一番の御馳走とする人間とは良く似ているものだ。
ライオンが偉いのではない。
肉食の王者ぶる焦りこそ、貧乏人の性でしか無いのだ。

子供の頃食べたモツは、少し、排泄物の匂いがした。

大人に成れば二度と食べたくは無いが、この国の人が「捨てるもん=ホルモン」を食べて、私は育った。

しかしホルモンを油で揚げた「油かす」ほど、美味だった想い出は無かった。
同和の人たちが考えついた最高のタンパク源こそ、私が初めて美味しいと思った日本の料理であった。



民族って何やろか?

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posted by shingol at 22:13| 私の好きな有機的な世界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする