2008年05月03日

船木誠勝は57秒で何をしたのか?/プロレスラーが勝つ為に2

私は船木誠勝は復活したと記しました。
ああいう短時間での敗北、完敗で何が出来たのかという意見もあるでしょうが、私的には船木誠勝は、大きく勝利に近づいていると感じています。

格闘技の試合での基本は、能動性です。
相手が何をしてこようが関係なく、つまり相手に合わさず、受け身的にならず、主体的に自分の行なうべき行動をとる事。

全ての選手に能動性が大きな要素を占めるというわけではありませんが、テクニシャンでもない船木が行なうべきは闘いの基本の前提は能動性しかありません。

引退前のヒクソン戦、復帰後の桜庭戦と、船木には能動性のかけらも感じられませんでした。
相手を見て、受け身的に、反応し、結果、自分の主体性を無くしたまま、あっさりと敗北を喫しました。

しかし田村戦、最初の攻撃こそ田村であったかもしれませんが、以後、短い時間の中に船木は田村の攻撃がどうであれ、関係のない能動性ある攻撃を繰り出しました。
ヒクソン戦、桜庭戦とは全く別物の闘いです。

引退前の船木は、総合格闘技の技術に出遅れている等身大の自分と振り向いてしまった事で、闘いの気持ちを揺らがせてしまったと私は思っています。
結果、船木の持ち味でもある能動性の感じられない闘いの中で、後手後手に回る闘いを余儀なくされてきました。
能動性を無くした船木の闘いはおそらくエベンゼール・ブラガ戦あたりから始まっていたように思います。

船木の肉体的特性や技術は、能動性を維持した闘いの中でこそ、発揮されるものだと私は思っています。

元々、パンクラス時代より船木は勝とうが負けまいが能動性ある闘いの中でこそ、自分を発揮し、そして強いメッセージ性を残してきました。

その時の船木と同じ匂いを私は田村戦で感じる事が出来たのです。

同じプロレスラーで総合で敗戦を続けた高田について記したいと思います。
田延彦は総合の試合で、もう少し頑張れるべきはずであるのに、最後まで自分を信じる事が出来ず、結果、粘りや踏ん張りを無くし、惜しい敗北を喫したような試合が幾度かあったように私は思っています。
高田の肉体的特性と練習量による本来の実力は、技術の未熟さをカバーして、もっと堂々と当時の何段もレベルの高い相手に発揮出来たはずだと私は信じています。
ボブチャンチン戦などは私は高田がもう少し最後まで自分自身を信じる事が出来たなら、ひょっとして勝利を掴めていたような気がするのです。
その試合の時の高田のタックルは、レスリング経験者の私から見て上手いとは思えませんが、高田の肉体の強さと練習量が凝縮された高田独自の粘り溢れる根性のタックルであったように思います。
ケアー戦では玉砕覚悟で数秒ケアーをたじろがせました。
高田は要所要所で本来の実力を発揮出来ていた選手だったのです。
しかし試合途中で、自分を信じることを維持出来なくなるのか、一度苦戦すれば、あっさりと弱々しい高田に戻っていたようです。

試合中、自分が何を行なうべきかがはっきりと分かっている選手、迷いの無い選手ほど、逞しい者はありません。
テクニシャンでもない船木や高田が発揮すべきは、能動性溢れる自分の信念に基づいた攻撃しか無かったはずです。
かつ高田や船木は、自分の能動性を貫く肉体のボテンシャルを持っているのです。

モーリス・スミス戦、ダウンを喫し後が無くなった船木は覚悟を決め、能動性を爆発させました。
迷いの無い信念が技術を凌駕する瞬発力を生み、そして勝利しました。

能動性の敵とは、相手ではありません。
自分の心臓でしかないのです。
しかし限られた試合時間、相手を見ず、自分を貫くために練習しているはずなのです。

相手を見ず、自分の呼吸によって試合を動かす事。
その結果等、あくまで副次的なものでしかありません。

船木の短時間での敗北で、船木は終わったと考えているような人も多いようですが、私は
田村戦、船木が復活したと記した意味は以上のような理由からです。

船木は少しずつ闘う気持ち、すなわち能動性を取り戻しています。

前も記しましたが、私は前田憲作がコーチに就いた事は、船木の能動性を迷い無く発揮してくれる可能性が高いと思っています。

プロなのですら、負けが込めば自然と船木も主催者やファンからお払い箱にされるでしょう。
しかし船木を見たがっているファン、船木の試合を組みたい主催者がいる限り、船木は闘い続ければ良いのです。

その中で、船木誠勝は大いなる前進を見せてくれました。

諦めない事。
限られた試合時間中、何も考えず自分を信じ続ける事。
そこに相手の介在する余地等本当は無いのです。
相手を見る前に自分を信じる事。

船木が自分の呼吸を貫けば、勝利は自然と転がり込みます。

私は船木誠勝、桜庭和志、柴田、プロレスラーの総合での戦いを応援していきたいと思っています。

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posted by shingol at 06:17| 新・レッスルする世界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする